2007年11月16日金曜日

奥三河で楽しむ秋の味覚。

車の街、豊田市から国道301号線を経て旧下山村へと車を走らせた。このあたりにはいくつかの村や町があったのだが現在では市町村合併のためほとんどが「豊田市」に統合されている。若かりし頃はこのあたりを走り回ったものだが旧地名がなくなっていくのは少し寂しい気もする。まだまだ紅葉は本格的ではないもののところどころに燃え立つような赤や黄色の樹木があり、おっと思わせる。

国道301号から三河湖へと向かうと、湖の手前にある郷土料理の店が「かじか苑」だ。ここには2年ほど前にも来たことがあるが、一度で気に入った。お手軽な値段で地元の松茸が楽しめる稀有なお店である。ここのウリは看板にもあるように「自然薯」。地元の食材を使用したとろろは絶品である。

中に入るといったんはテーブル席に案内してくれたが、松茸料理を食べにきたことを告げると奥にあるお座敷に案内してくれる。これは、料理の数が多く場所をとるため大きなテーブルのあるお座敷でというお店の配慮なのだが、なんだかリッチな気分。もちろんお座敷の使用料などという無粋なものは一切ない。松茸定食(2000円)というのもあるのだが、お願いしたのは松茸のコース料理(5200円)。突き出しから土瓶蒸し、焼き松茸まで一通りのコースが楽しめる。

まず最初に出てきたのは佃煮系の3点セット右から「くるみのおかか仕立て」「ホタテの佃煮」そして一番左のはお芋を干し柿で包んだデザートっぽいお料理。甘すぎずくどくなく、なかなか美味。小鉢に入った料理は「山くらげ」。ユリ科の山菜「ギボウシ」の葉柄をゆでて乾燥させたもので、コリコリした食感がたまらない。かんぴょうみたいなものだと思うが、かんぴょうよりもはるかにおいしい。お気に入りに加えよう。

料理は割りと次々と運ばれてくる。上の写真の米ナスはこんがり焼かれていて甘みが強い。しょうゆベースのたれも甘みが強いのだが、まったくいやみがなく大きさの割にはあっという間に食べることができた。そのあとに出てきた、鮎の塩焼きも手ごろな大きさで食べやすい。いいねぇ、やはりかじか苑は・・・・・などとご機嫌になっているとメインの「松茸料理3点セット」が運ばれてきた。


土瓶蒸しと釜飯に使用されている松茸は彼の国からやってきた輸入モノらしいが、焼き松茸は地のものを出してくれるようである(お店の方が2年前に話してくれた情報)。土瓶蒸しも釜飯もそれなりにおいしいのだが、やはり香り立つ秋の味覚・・・とまではいかない。しかし、焼き松茸は違う。手で裂いて、なるべく細くしてから炭火の七輪?で炙っていただくのが絶品。やや大きめに炙ったものを贅沢に食べたりしてもずいぶん楽しめるだけの量が運ばれてくる。いわゆるホンモノの松茸の香りというやつが室内に立ちこめて、ますます秋を強く感じる。しばらく指から松茸のにおいが消えないほどに香りが強かった。うーん最高・・・

最初はデザートまで一緒に運ばれてくるのはいかがなものかと思ったりもしたが、後から仲居さんを呼びつけるのも気が引ける。座敷に人の出入りもなく静かに過ごせるのだからまとめて持ってきていただいたほうがいいのかもしれない。デザートはパイナップルとメロンにオレンジ。純和風の料理から一気にトロピカルな気分にさせてくれるが、いずれも甘くておいしく大満足。2年前にも話題になったのだが、デザートのお皿がお魚のデザインであり個性的。なんだか楽しい。



満腹になった後は、窓を開けて下を流れる清流を眺め心穏やかに。ここでも少し色づき始めたもみじの木が目を楽しませてくれる。食後に少しのんびりさせていただいたのだが、催促されることもなく、静かに時が流れていく。料金に対してボリュームもあり、フルコースにしてはリーズナブルで非常にお得なお店であることは間違いない。この倍の値段を払ってしゃれた料理旅館でてんぷらまでついたコースを食べるのもいいのかもしれないが、純粋に秋の味覚を楽しむには「かじか苑」さんのコースで充分である。

表には鷹匠の飼育する鷹が軒先にたたずんでいて、少しドキリとさせられるが特に危険はない。手乗りインコと同じくらいにおとなしいと聞いたが、その鋭い眼光を目の当たりにすると近寄りがたい感じがする。奥三河の空気はすでに冷たくなっていて鷹くんも少し寒そうであった。
かじか苑
〒444-3206
愛知県豊田市羽布町金山29
TEL:0565-90-3320
営業時間:10:00~17:00
定休日:月曜日
(月曜が祝日の場合は営業)
定食メニュー1000円~
松茸定食:2000円
松茸コース:5200円
しし鍋料理/アユ料理あり

2007年10月26日金曜日

秋の京都祇園食べ歩き


秋の京都を楽しむため、ふらりと京都の祇園に向かった。地元から車を飛ばして、京都東インターまでは一時間少々のドライブだ。車窓から見える木々はまだまだ紅葉には程遠いがそれでも秋はすぐそこに来ている。

今回訪れたお店は祇園八坂神社のすぐそばにある「汁る椀豆寅 京都店」 名物である豆すしを楽しむためにやってきた。実は京都に着く直前まで他にも何件かのお店が候補に挙がっていたのだが、愛妻の一言でこのお店に決定。結果として最高のランチタイムを過ごすことができた。


祇園の瀟洒(しょうしゃ)なたたずまいにいささか気おされながら、格式ある路地を進むとひっそりとした中にそのお店はあった。表の静けさとはうらはらに、昼下がりの店内にはわりと多くのお客様がお見えで少し安心。ランチは3種類のメニューから選べるようになっており我々がチョイスした「豆寿司御膳」以外にも、京都のおばんざいを満喫するコースなど魅力たっぷりのコースが揃っている。



坪庭を望むしゃれたカウンター席に座ると早速突き出しが運ばれてきた。かわいらしい仲居さんがひとつひとつ料理の説明をしてくれるため、こちらもなんだか緊張する。まずは鯛のお刺身から。程よい厚みでありながら歯ごたえもあり、まずまずの味わいである。すだちを散らせてからもみじおろしと醤油でいただく。


続いて山芋と株の煮物。ほっこりとした味わいに穏やかな気持ちになる。カロリーも控えめ、豆乳で煮込んであるみたいで実にヘルシー。筆者のメタボボディにも優しい一品。味噌だれの味わいがややキツイような気もするがまぁ満足。このへんは好みもあるだろう。

おいしいお茶をいただきながらしばし正面に見える坪庭に目を馳せる。引き戸は開いていて、外の風が心地よく頬をなでる。実にいい季節である。ほどなくお待ちかねのメインメニュー「豆すし」が運ばれてきた。仲居さんがおひつを前においてくださり、おもむろに蓋を開ける。目の前に広がる宝石のようにキレイな豆寿司。この演出がなかなかイカスなぁ。


再び丁寧に食材の説明をいただいた(覚えている食材を書いておいたので写真をご覧ください)説明が終わるとさっそく妻とどれから食べるかで悩む。なんだか食べるのがもったいないようなそんなたたずまいの豆寿司であるが、見るのも楽しみ、そして食べるのもまた楽しみである。 どの食材も厳選された材料を使用しており充分に満足のいくできばえであった。中でもサーモンの赤を柿に見立てて、昆布でへたを細工して作られた豆寿司には板前の粋な遊び心を感じる。


ランチに来ていることを一瞬忘れるほどの贅沢なひと時。女将さんや仲居さんの細やかな心遣いに感謝して店を出た。


店を出た後、祇園の町を散策しそのまま清水寺へ。二年坂~産寧坂(さんねんざかと読むらしい)をみやげ物屋を覗きながら歩く。祇園~清水寺~建仁寺(八坂の塔)までは2-3キロ圏内でありがんばればどうにか歩けるくらいの距離である。目を楽しませてくれる旧跡やお店を眺めながらの1時間はあっという間であった。




二年坂を登りながらふと振り返ると建仁寺 八坂の塔が正面に見えた。どこかで昔見たような懐かしい景色。思い出を甦らせる不思議な町である。
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汁る碗 豆寅
TEL / 075-532-3955
住所 /京都府京都市東山区祇園町南側570-127
総座席数 / 60席
予算/昼:2,000円/夜:6,000円
ランチ/ 有
営業時間/昼:11時半~14時 夜:17時~21時
定休日/ 無休